2024年4月、私はイースター島を訪問した。
日本からどんなに早く行けたとしてもアメリカまで10時間、チリまで7時間、そこから国内線で6時間。どう頑張っても1日以上はかかってしまう。ただ、1週間あなたに休みがあるのであれば、イースター島への旅行は強くお勧めする。
世界には絶海の孤島と呼ばれる場所がいくつもある。歴史上では流刑地など悪い意味で使われてきたように思う。しかしそこにも歴史があり、そこで生まれ、そこの言語を話し生活する人々、それを取り巻く社会が世界中で存在している。
その多くはこれまでの歴史のなかで周りの「強国」や「たまたま近くだった国」に取り込まれて、それ自体のアイデンティティは薄れてしまった。しかし、イースター島は今も島固有の言語が話されており、これまでの文化を確実に継承しようとしている場所である。

言語について触れておくと、(私は言語学が専門なのである)イースター島で話されているのはラパ・ヌイ語である。オーストロネシア語族 / マレー・ポリネシア語派といって、マレー半島や太平洋の島々、ハワイ語などとも先祖を共通とする言語である。
これが意味するところは、この地の先祖は南米大陸から来た人たちではない、ということである。遠路はるばるアジアから、カヌーでやってきたヒトたちである。実際に彼らと話していても彼らは「ポリネシアン」としてのルーツ、または「自分」を大事にしていた。すなわち、スペイン語を話す「ラティーノ」ではなく、太平洋に生き、太平洋の島国の文化、言語を守り抜いてきた人たちということだ。
私が島に滞在したのは3泊4日。3泊4日あれば島中をゆったり見て回れ、十分すぎるくらい島について勉強でき、島の生活を感じることができる。
私がこれまで旅をしてきた中で、最も「最果て」感があったのがここイースター島であった。なぜそれを感じたのかはうまく説明できないところがあるが、「最果て」感を作り出す要因に、ホームプレイスとの距離の遠さとホームプレイスとの親近感、大自然の3つの要素があるような気がする。

自分のホームプレイスとするところ(私の場合、日本)から物理的に遠い位置にあればあるほど、やはり最果て感は増すことになる。しかし、それだけではないように思う。それは、地球の裏側、アルゼンチンのブエノスアイレスではそうは感じなかったからだ。
2つ目のホームプレイスとの親近感が何気に大事。イースター島初日に海岸で夕焼けを見た。夕日が沈む方向はそう、日本である。この海で、イースター島民の先祖が辿ってきた航路を逆行すれば日本に着くのである。海に対して何かつながりを感じてしまうのは島国で生まれ育った日本人だからこそかもしれないが。
しかしそれ以外にもイースター島と日本は修復や文化保全の面で大きな協力関係にある。有名な話であるが、チリ地震後に倒壊してしまったモアイたちの修復にあたったのは日本の一企業や職人である。
そして3つ目の要素が大自然である。人工物が立ち並ぶ場所よりも、自然に囲まれた場所の方が最果て感があるのは自明に見える。きっと、自然の音以外何も聞こえない環境、ふとした瞬間に現れる静寂が自分に最果て感を感じさせるのだと思う。
以上、3点を踏まえてイースター島が私にとっての今の所の最果ての場所なのだ。
さて、前置きが長くなってしまったが以下が#1として本来書くべき内容である。
イースター島へはチリのサンティアゴとフランス領ポリネシアのタヒチからの2通りの行き方がある。しかし、後者は常に運航しているわけではなく、チャーター便限定だったりするので要チェックである。(2025年1月現在タヒチ→イースター島への定期直行便は存在しない)
したがって、ここではサンティアゴ空港からの行き方を記す。
国内線ターミナルに行き、LATAM航空のチェックインカウンターを探すと下のような看板がある。
ここにはイースター島行きチェックインは下の階(2階)で行われていると書かれており、看板の地図に従って、エスカレーターか階段で下の階に降りる。そうすると係員がいるチェックインカウンターがある。大抵同じ時間に200人くらいの人がチェックインすることになるので、分かるはずだ。

チェックインをした後は国内線にも関わらず、パスポートコントロールのようなところへ進む。

イースター島へ訪問する旅行者はこちらのサイトから事前にフォーム記入を済ませなければならなく、忘れていた旅行客もいたので要注意である。
前述のパスポートコントロールのような場所で以下のような紙を渡される。これはイースター島から出る時までなくさずに携帯しなければいけない。
ここにはイースター島に着く日、帰りの日、個人情報や滞在先が書いてある。
なお、事前に滞在先を決めておくことは必須である。滞在先がないと、パスポートコントロールを通過できず飛行機も乗れないことになる。

それが完了すればあとはボーディングゲートに行くだけである。Rapa Nui と書いてあるゲートがそれである。

イースター島までは5~6時間。ラタム航空国内線であるが787を使っており、機内食も提供される快適なフライトだった。人も運ぶが、それ以上にモノを運ぶために重要な輸送手段である。

季節は乾季(11月〜4月)がおすすめとされている。私はほぼ乾季の終わりに行ったが、1日のうちで雨が降るタイミングこそあるものの、1日中どんよりしていた日はなかった。快晴をバックに立ち並ぶモアイは本当に美しく、できれば乾季に行きたいところ。
航空券予約はスカイスキャナーを使った。私が行った4月後半で53,000円ほどだったと記憶している。
予約の際はスカイスキャナーの国/地域をチリにすると良い。下の画像の左が日本、右がチリにして同じ条件で検索した結果である。
大体年間の底値が40,000円ほどで高いシーズンだと100,000円を超えるようなタイミングもある。毎日運行しているので2泊3日なり、3泊4日で安いタイミングを見つけてさっさと予約してしまうことをお勧めする。
